西国三十三所第28番札所である成相寺は、日本三景・天橋立を見下ろす成相山の中腹に位置する、1300年以上の歴史を誇る古刹です。その名は、食糧が尽き餓死寸前だった僧侶の願いに応え、本尊の観音様が自らの身を鹿の肉に変えて捧げたという伝説に由来し、「願いが叶い、相う(あう)」お寺として古くから人々の厚い信仰を集めてきました。四季折々の豊かな自然に包まれた境内は、標高約300メートル以上の高地ならではの清らかな空気が漂い、訪れる者の心を穏やかに整えてくれる不思議な力が満ちています。
| 名称 | 成相寺(西国第二十八番札所) |
|---|---|
| 住所 | 京都府宮津市成相寺339 |
| TEL | 0772-27-0018 |
| 特徴 | 日本三景・天橋立を眼下に見下ろす景勝地にあり、願いが叶う「身代わり観音」で知られる古刹。 |
| 関連サイト | https://www.nariaiji.jp/ |
本堂から少し離れた場所に佇む、小ぶりながらも威厳を感じさせる地蔵尊があります。このお地蔵様は、一生のうちに一度だけ、ただ一つの願いを、たった一言で念じれば必ず叶えてくれるという「一願一言」の言い伝えで知られています。言葉を削ぎ落とし、心の奥底にある最も純粋な願いだけを一点に集中させて向き合う時間は、自分自身の本心を見つめ直す貴重な機会にもなるはずです。
成相寺の本堂の中には数種類のおみくじがありますが、中でも人気なのがこちら!かわいらしいお地蔵さんの中におみくじが入っていて、お地蔵さんにはペンで目や顔を自由に書くことができます。思い思いのデザインをしたら、境内の目につくところへ。一願一言地蔵のそばに納めていただくこともできます。
本堂の軒下を見上げると、江戸時代の伝説的な彫刻職人・左甚五郎の作と伝わる、見事な龍の彫り物に出会えます。通常、龍の彫刻は横を向いていることが多いのですが、この龍は珍しく正面を向いて彫られていることから「真向の龍」と呼ばれています。驚くべきはその眼の配置の巧妙さで、右から見ても左から見ても、あるいは下から見上げても、龍の鋭い視線が常に自分を真っ向から見据えているように感じられます。
境内の風景に華やかな彩りを添えているのが、1998年に再建された鮮やかな朱色の五重塔です。鎌倉時代の建築様式を忠実に再現したこの塔は、かつての成相寺の隆盛を今に伝えるシンボルであり、周囲の山々の深い緑や抜けるような青空との対比は、息を呑むほどの美しさを誇ります。特に、春の桜、新緑の青もみじ、そして秋の燃えるような紅葉に彩られた五重塔の姿は、いつ訪れても絵画のような完成された美しさを見せてくれます。
境内に静かに吊るされた「撞かずの鐘(つかずのかね)」には、お寺の再建にまつわる切なくも不思議な伝説が残されています。かつて鐘を鋳造する際、誤って煮えたぎる銅の中に赤ん坊が落ちてしまい、完成した鐘を突くと、赤ん坊の泣き声のような悲しい音色が響いたといわれています。これを憐れんだ人々は、赤ん坊の供養のためにこの鐘を突くことを止め、今もなおその音色が響くことはありません。
お寺のさらに上方に位置するパノラマ展望台は、日本三景・天橋立を「昇龍観」として一望できる絶好のビュースポットです。遮るもののない大パノラマを楽しんだ後は、併設されたカフェ「美人茶寮」で一息つくのがおすすめです。その名の通り、ここで過ごす時間が心身を豊かにし、内面からの美しさを引き出してくれるような落ち着いた空間が広がっています。
天橋立ケーブルカー府中駅からケーブルカー/リフトで傘松公園へ上り、そこから成相寺登山バスをご利用ください。
※自家用車でも行くことができますが、かなり急勾配の道となりますのでご注意ください。